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大人用バッグを通園バッグにリメイクする

通園バッグ 服飾・学用品

4月といえば、入園・入学。おめでたい季節ではありますが、お母さん方にとっては手仕事に追われる季節でもあります。特に入園準備は、作るものが多くて大変ですね。私も長女の入園の際は、特に通園バッグに頭を悩ませました。園指定のバッグがある、手作りを求められるなど、通園バッグ事情は園によってさまざまだと思いますが、長女の幼稚園はサイズのみ指定で、手作りでも既製品でもOKという方針でした。

最初、通園バッグだけは既製品にしようと思っていました。手作りではきっと3年もたずに壊れる、という予感がしたからです。ところが、いわゆる通園バッグとして売られているものが、どれも園指定のサイズと微妙に合わなかったので、困ってしまいました。園の指定は、内寸で長さ23cm、高さ18cm、奥行き12cm以上。けれど既製品は、奥行きが外寸10cm前後のものがほとんどです。いざ入園してみると、それらのバッグを使っている子が幾人もいましたので、数センチの違いを気にすることはなかったのでしょう。しかし当時は、指定の数値に忠実たらんと真面目に悩みました。そのとき思いついて引っ張り出してきたのが、自分が若いころ使っていた大人用のバックパックです。

BAGGUというカリフォルニア発のバッグブランドの製品で、シンプルなデザインと感じのよいキャンバス地が気に入っていました。商品ページではマチ15cmとなっていますが、実物を裏返して内側に物差しを当てると、ちょうど縫い目から縫い目まで12cm。園の指定サイズも満たしているし、結婚以来ほとんど使っていないし、よし、これを通園バッグにしちゃおう、と決めました。

  • 製作費用:340円
  • 所要時間:1週間

リュックそのものは、私が購入した当時の価格で4,000円ほどしましたが、リメイクのための出費は厚地用ミシン糸のみで済みました。買い足すことも余すこともなく元の生地を使いきり、壊れることなく使い続けて丸3年、これはリュックのためにも最高の再利用だったと思います。

リメイク方針:なるべくそのまま使う

元のリュックは高さが40cmもありましたので、これを園指定の23cmまで詰める必要がありました。けれど分厚いキャンバス地でできているので、切って縫うのは一苦労ですし、紐をしぼって開閉する開け口の構造もそのまま使えたら楽です。そこで、切らずにただただ折りたたむことにしました。

通園バッグ - 切らずに折りたたんでリメイク

基本的には、ただただ折りたたんで縫い合わせただけです。ただその際、側面についていたジッパーつき小物収納ポケットだけは邪魔だったので、切り取って脇を縫い合わせる必要がありました。また、リュックの蓋の位置がずれるので、蓋部分も一度はずして新しい位置に縫い直す必要がありました。順を追って作業手順をまとめると、以下のようになります。

  1. リュック側面についている小物収納ポケットを切り取り、脇を縫い直す
  2. 蓋と肩ベルトと持ち手を外し、蓋と持ち手を背面の新しい位置に縫いつける
  3. 蓋を止めるスライド式ボタンの留め具を布地ごと切り取り、新しい位置に縫いつける
  4. 外した肩ベルトの片方をリュック側面に縫いつけて、ショルダーバッグにする
  5. 高さ23cmになるように、リュック全体を折りたたんで、手縫いでとめる

記憶をもとにした不確かな記述にはなりますが、以下で詳しく見ていきます。

小物収納ポケットを切り取り、脇を縫い直す

できる限りハサミを入れない方針のリメイクでしたが、上部をほぼ丸々半分折り込む都合上、側面の小物収納ポケットだけは切り取らざるを得ませんでした。これはリュック本体と一枚布でつながっていて、脇に縫い付けられたジッパーで開閉して、独立したポケットとして使う形になっていました。リメイク前の写真が残っていないので分かりにくいですが・・とにかくジッパーを外し、ポケット部分の布地を切り取り、脇を縫い直して、ポケットなしのすっきりした側面にしました。

通園バッグ - ポケットを切り取って縫い直した脇

写真はカバンを裏返して撮ったリメイク後の脇の縫い目です。布端をくるむバイヤステープは、ポケットの布端に縫いつけられていたものを外して再利用しています。

蓋と持ち手を外し、新しい位置に縫いつける

リュックの蓋と、持ち手と、2本の肩ベルトは、背面上部で四角い布地と一緒に縫い止められていました。リュックの高さを半分にするので、これは位置をずらさなければなりません。ぐるりと縫いつけられている四角い布地を外し、肩ベルトはショルダーバッグにリメイクするつもりで一度取り除きました。蓋と持ち手は、元と同じように四角い布と重ね、位置だけリュック底面から23cmのところにずらして、元と全く同じように四角くぐるりと背面に縫いつけました。

通園バッグ - 付け直した蓋と持ち手

ちなみに園の指定は「肩から下げられるもの」ということだったので、リュックではなくショルダーバッグにリメイクしたのですが、元々の肩ベルトが1本余ったので、背中にも背負えるように持ち手に結えて取り付けてあります。この2wayがとても便利でした。あとでご説明します。

蓋の留め具を切り取り、新しい位置に縫いつける

蓋はスライド式ボタンで開閉する形になっていて、これは基本的にそのまま活用しましたが、留め具の位置はずらす必要がありました。布から外そうとしたのですが、2枚の金属板が布をがっちり挟んでいて外しようがなかったので、もう布ごと丸く切り取ってしまいました。この部分は折りたたんで見えなくなってしまうのでよいのです。ただ念のため、切り口にはほつれないようにバイヤステープをぐるりと縫いつけました。

通園バッグ - 留め具を切り取った跡

外した留め具は新しい位置につけました。最初は接着剤でつけたのですが、洗濯で取れてしまったので、金属板と金属板の間に糸を通して縫い止めました。

通園バッグ - 付け直した留め具

肩ベルトを側面に縫いつけてショルダーバッグにする

もともとリュックなので、長さ調整金具つきの肩ベルトが2本あります。このうちの1本を、ショルダーバッグのベルトとして使いました。長さ調整ができる利点を活かすため、片側のみカバン本体に縫いつけて、片側は二重リングに通しました。

通園バッグ - 側面に縫いつけたベルト

ベルトは最も負荷のかかる部分なので、頑丈に縫いつける必要があります。写真に写っているのは、次の工程でリュック上部を折りたたんで手縫いする時に、ベルトを一緒に縫い込んだ時の縫い目ですが、この前段階として、内側で何重にもミシンをかけて縫い合わせてあります。その甲斐あってか、3年使ってもベルトがとれることはありませんでした。二重リングの方が、手縫い部分に負荷がかかってちょっと怪しかったですが、なんとかもちました。

リュックを指定の高さに折りたたんで縫い止める

あとは上部を外側に折りたたんで縫いとめるだけです。ここは、手縫いでぐしぐしと仕上げました。そして折りたたんで二重になった部分を内側に折り込んだら完成です。

通園バッグ - 紐を絞った様子

写真は、上部の紐をぎゅっと絞ったところです。この紐は、もともと丸い穴から交互に内と外に出ていましたが、幼稚園生が開け閉めしたら紐に手を引っ掛けるだろうと思い、一度外してほとんどの部分を穴の内側にしまいました。そのせいもあって、どんなにぎゅっと絞っても、あまりしっかりとは閉まりません。まあ被せ蓋があるので、この程度閉めればなんとかなりました。

完成品の仕様とサイズ感

完成品は当然ながら、四角い形でファスナーのついた、いわゆる通園バッグとは形状が異なります。最初は一人で開け閉めできるか、入れにくくないかと心配しました。開け閉めに関しては、「この紐を引っ張るんだよ。こうやってカッチャンするんだよ。できる?」と入園に先立ってやらせてみて、問題なさそうだと判断しました。逆に教え込んだ直後の方がちゃんと閉めていた気がします。年中、年長になると、できないのではなく横着から、紐を絞らず「カッチャン」だけして幼稚園から飛び出してくることしばしば。きゅっと紐を絞れば形も整ってかわいいのに、中身丸見えでああみっともない・・と苦笑させられました。

通園バッグ - 中身を詰めた様子

荷物の入れやすさという点では、最高でした。上の写真はお弁当袋と連絡帳を入れたところですが、このほか脱ぎ捨てた上着、泥まみれの衣類、工作、なんでも突っ込んで、ぎゅっと紐を絞れば、凡そなんでも入りました。

通園バッグ - リュックにした時のサイズ感
通園バッグ - 肩掛けにした時のサイズ感

上の写真は、子どもが身につけた時のサイズ感です。これは登園時ではなく、プライベートで外出したときの写真ですが、こういうおしゃれ目ワンピースにもよく似合います。そして上でも触れた通り、余った肩ベルトとカバン底部に元々ついているD環を活かして、リュックとしても背負える2wayバッグにしたのですが、これは雨の日に真価を発揮しました。普段は「肩から下げられるかばん」という幼稚園の指定に従って肩掛けにしていたのですが、雨の日だけはリュックにして背負わせ、上からすっぽりレインポンチョを着せたのです。こうすると、かばんが全く濡れませんでした。子どもなんて傘をもたせても、まともに頭の上にさしている時間よりあらぬ方角に向けている時間の方が長いですが、この2wayのおかげで雨のたびにかばんをぐしょ濡れにしないで済みました。

余った布地でおそろいのポーチ

このリメイクには、さらにおまけがあります。脇から切り取った小物収納ポケットと、リュック内部に縫いつけられていた内ポケット(これはリメイクの大筋と関係なかったので上で書かなかったのですが、蓋部分をほどいて外すときに同時に外しました)で、おそろいのポーチを作ったのです。

通園バッグ - おそろいのポーチ

本体となっているのが小物収納ポケットで、小さなカード用ポケットも元からついていたものです。丸みをおびた蓋の部分がもともと内ポケットだったもので、このふたつが偶然ほとんど同じ幅だったことから、ただ並べて縫い合わせるだけでできてしまいました。あとは手頃な紐と、100円ショップのマグネットスナップをつけただけです。これは娘の登降園の際に、筆記用具や集金袋など持って行くとき私が使用しました。内側はほどいたまんまの切りっぱなしという手抜きな品ではありますが、親子でおそろい、しかも元はひとつのバッグ、というのはなんとなく楽しいものです。

通園バッグ - おそろいのポーチ(裏面)
通園バッグ - おそろいのポーチ(内側)

3年間使っての感想と評価

このちょっと変わった通園バッグを娘に作り与えてから早や3年。通常の通園バッグよりいささかごついので、最初のうちは小さな娘の身の丈に合わぬ感もありましたが、いつの間にか娘が大きくなってちょうどよいサイズ感になりました。「素敵なバッグね」「おしゃれね」と声をかけられることも数度、うれしい限りです。

このバッグの良かった点は、丈夫さ、洗濯のしやすさ、なんでも入る容量の大きさ、そして幼稚園にもお出かけにも使える汎用性などです。悪かった点は、少々紐の絞りがゆるくて、油断すると中身が見えてしまう点でしょうか。それ以外には特に問題なく使い通しました。

通園バッグ - おそろいのポーチとともに

幼稚園の頃の写真を見返すと、かなりの数の写真にこのバッグが写っています。毎日使っていたのですから当然なのですが、そう考えると通園バッグは本当に、共にいてあらゆる思い出を吸収する存在ですね。しっかり洗って砂ぼこりを落とし、大事にし続けたいと思います。もとが大人用のバッグなので、何歳になっても違和感なく使えるデザインですし、経年劣化する合皮とちがって、多少角が擦り切れはじめているものの、まだまだ長持ちしそうなのが嬉しいところです。なんなら私が自分で使いたいくらいです。これまでは「素敵なバッグですね」と言われると「もともと大人用なんですよ」と説明してきましたが、これからは「素敵なバッグですね」と言われたら「娘の通園バッグだったんですよ」と説明するつもりです。

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