「船長さんの命令」というレクリエーションをご存知ですか。「船長さんの命令です」という前置きの後に出された指示には従い、そうでない指示には従わないという簡単なルールのもとで、皆で体を動かす遊びです。私はやったことがないのですが、娘が幼稚園で覚えてきて教えてくれました。「船長さんの命令です」。楽しいフレーズですね。
ここでご紹介するのは、この愉快な言い回しにインスピレーションを受けて我が家で創作した、オリジナルのカードゲームです。元のレクリエーションと内容的にはまったく別物ですが、船長さんの一方的な命令に翻弄されて盛り上がるのは同じ。とても面白いゲームになったので、是非やってみてください。
カードゲーム版「船長さんの命令」の遊び方
カードゲーム版「船長さんの命令」は、スティーブンソンの小説『宝島』の世界観を下敷きにしています。つまり「宝さがし」ゲームです。まずは全員に10枚ずつ手札を配り、一人ずつ手持ちの札で何らかのアクションを起こして別の札と取り替えていく、そして「宝」カードを含む何枚かの札の組み合わせに最初に到達した人が勝ち、というのが基本ルールです。カードの種類は以下の10種類です。
| 船長 | 6枚 | 赤のK, Q, J |
| 海賊 | 6枚 | 黒のK, Q, J |
| よい水兵 | 12枚 | 赤の2, 3, 4, 5, 6, 7 |
| わるい水兵 | 12枚 | 黒の2, 3, 4, 5, 6, 7 |
| オウムのポリー | 4枚 | 8 |
| マーメイド | 4枚 | 9 |
| あらし | 4枚 | 10 |
| ラム酒 | 2枚 | 赤のA |
| 地図 | 2枚 | 黒のA |
| 宝 | 2枚 | ジョーカー |
表の3列目は、トランプを使う場合の対応を表しています。うちでは最終的に専用カードを作りましたが、それまではこのような対応づけをしてトランプでプレイしていました。「水兵」は海軍ではないので厳密にはおかしいですが、うちの子たちは「かえるの水兵さん」と呼ぶぬいぐるみを持っているせいか、「水兵」という呼び名が一番親しみやすいようでしたので、とりあえずそう命名しました。違和感のある方は、「船乗り」とか「乗組員」と読み替えてくださればよいかと思います。「あがり」となるには、「宝」カードを1枚以上もっていることに加えて、以下のどちらかの条件を満たす必要があります。
- 「船長」1枚 +「マーメイド」1枚(「よい水兵」は何枚でも持っていてよい)
- 「海賊」1枚 +「オウムのポリー」1枚(「わるい水兵」は何枚でも持っていてよい)
つまり「船長」として、または「海賊」として、宝をゲットするということですね。自分の味方となる水兵は何人か引き連れていても構いませんが、それ以外のカードはすべて使い切らないと「あがり」になりません。船長や海賊が2人いるというのもダメで、必ず1枚です。
さて、最初に全員にカードを配ったら、残りのカードは伏せて真ん中に置きます。そして一人ずつ手持ちの札から1枚選んで、真ん中に出していきます。最も基本的な使い方は、「1枚出して1枚引く」というもので、「あらし」以外のすべてのカードはこの使い方ができます。ただそれとは別に、それぞれのカードに独自の使い方があって、そちらのアクションを起こしてもかまいません。以下で1種類ずつ見ていきます。
「船長」または「海賊」の使い方

このゲームで一番面白いのが、「船長」カードと「海賊」カードの使い方です。これらのカードを出した人は「船長さん(もしくは海賊)の命令です」と言って、他のプレイヤーに対して命令をくだすことができます。命令の内容はなんでも構いません。一番多いのは「宝をよこせ」とか「手札を見せろ」ですが、極端な話ゲームの進行と関係なくても構わなくて、「のどが渇いたからオレンジジュースを一杯もってこい」なんてのもOKです。ただ、船長権限が強すぎるとゲームが破綻するので、以下の3つの決まりだけは守ります。
- 一度にくだす命令は一種類:
たとえば「手札を見せて、その中で一番よい札をよこせ」はNGです。船長権限で要求できるのは「情報開示」か「手札の提供」か、一度にどちらかひとつだけとします。 - 命令をくだす相手を特定する:
一度に複数または不特定多数のプレイヤーに命令をくだすのはNGとします。たとえば「全員手札を開示しろ」とか、「誰でも宝カードを持っている人は差し出せ」という命令は出せません。最初に特定のプレイヤーを指名し、その人に対してのみ命令をくだすものとします。 - 札の強奪は一種類のみ:
たとえば「手札を全部差し出せ」はNGです。相手が即座にゲームオーバーしてしまいますからね。手札の提供を要求するときは一種類のみ、水兵の場合も「よい水兵」か「わるい水兵」のどちらかを指定するものとします。
この船長命令は基本的に絶対ですが、回避の方法が2種類あります。ひとつは、後述する「ラム酒」のカードを使うこと。もうひとつは「断る!」と宣言して、自分の船長カードか海賊カードを出すことです。この場合、命令をくだした親分と、対抗した親分の間の戦いになります(船長同士の戦いや海賊同士の戦いになっても問題ありません)。戦いの決着をつけるのは、お互いの手下の数。「船長」カードを出した人は「よい水兵」のカードを、「海賊」カードを出した人は「わるい水兵」のカードを、その場に並べます。互いのカードの数を比べて、もし抵抗軍が多勢の場合は、命令は撤回され、命令をくだした側の水兵が相手に没収されます。逆に抵抗あえなく数で敗れた場合は、戦いに使った水兵カードを相手に引き渡し、さらに命令に従わなくてはなりません。そして勝っても負けても、最初に投じた船長カードや海賊カードは失うことになります。なかなかシビアな戦いです。これがあると、無鉄砲な命令は出しづらくなり、自分の戦力と相手の戦力を見定めながら、慎重にカードを扱うことになります。
「オウムのポリー」の使い方

「オウムのポリー」は、『宝島』に出てくるオウムの名前がポリーだったような気がして命名したのですが、今になって調べたら、ジョン・シルバーが肩に乗せているオウムの名前は「フリント船長」でしたね。失礼しました。もうカードにも書き入れてしまったので、このゲームでは「ポリー」で通します。アニメ「ペッパピッグ」に出てくるオウムの名前がポリーなので、うちの子たちにはかえって親しみやすかったようです。
このポリーカードでできる技は「寝返り」です。ポリーカードを出してから、プレイヤーを一人指名し、その人に自分のもっている「よい水兵」または「わるい水兵」カードを、好きな枚数だけ差し出します。相手のプレイヤーは、「よい水兵」を差し出されたら「わるい水兵」を、「わるい水兵」を差し出されたら「よい水兵」を、同じ枚数分だけ返さなくてはなりません。つまり、ポリーカードを使うと、敵味方入り混じっていた自分の船の水兵が、船長の手下か海賊の手下にすり替わって統一されることになります。恐ろしいですね。
ちなみに取引相手となったプレイヤーの持ち札が足りなかったら、可能な枚数分だけ水兵の交換をおこないます。なので現実的には、「よい水兵何枚もってる?」などと聞いて、交換する水兵の数を定めてから札をやり取りするのがスムーズです。
「マーメイド」の使い方

「マーメイド」は、小説『宝島』には出てきませんが、人魚好きな娘のために入れました。マーメイドの役割は、海に落ちたカードの救出です。すなわち、他の人が捨てたカードで欲しいものがあったら、マーメイドカードを出して、引き換えにそのカードを手にいれることができます。マーメイドカードは、自分の番が回ってくるのを待たずに使うことができますが、その代わり自分の番が来たら一回スキップします。
「ラム酒」の使い方

「ラム酒」カードを出すと、船長命令もしくは海賊命令を無効にすることができます。ラム酒の誘惑で黙るなんて、なさけない親分たちですね。大立ち回りを覚悟でエイッと船長カードを出して、ラム酒カードをシレッと上に重ねられると、周りは爆笑、船長さんはう〜んと唸ります。ラム酒を前にしたら黙るしかない・・
「地図」の使い方

「地図」カードを出すと、「宝を持っている人は手をあげて」と呼びかけることができます。名前の通り、宝のありかを教えてくれるカードです。誰も持っていなかった場合はカードの出し損になりますが、これで誰かが手をあげると、それっとばかり宝の持ち主めがけて、船長や海賊たちの集中攻撃がはじまります。
「あらし」の使い方

他のカードはすべて、その独自の使い方を封印して「1枚出して1枚引く」という基本の使い方をすることができますが、「あらし」だけはそれができません。このカードが出されたら必ず「全員隣の人からカードを1枚引く」というアクションをおこないます。つまり、あらしによってカードの所在がかき回されるわけです。宝をねらう頭脳戦に、あらしの到来による無作為な要素が加わり、ゲームが面白くなります。
オリジナルカードの作成
このゲームは、トランプでテストプレイしながら作り上げたものなので、必要なカード枚数はちょうどトランプと同じ54枚です。なので、トランプで何の問題もなくプレイできます(札の対応を覚えるのが、固くなった大人の脳みそには少々難儀ですが・・)。しかしオリジナルカードを作ったらより面白くなりそうだったので、セリアで30枚入りのメッセージカードを2組買ってきて作りました。

船長、海賊をはじめとして、すべての役柄に我が家の人形とぬいぐるみたちが総出演しています。これは下の子がとても喜びまして、「あ、うさちゃん、いた」「そふぃ、わらてる」「ぼびー、ねんねしてる」とゲームに参加できないながら、横で楽しんでいます。おかげで次女の横に座った人の手札はバレバレですが。

役者が足りないので、ふたりの娘もあちこちに「カメオ出演」しています。うーん、悪い水兵がいますねえ。本物そっくりです。

総合評価:出来栄えとオススメ度
素人が行き当たりばったりで創作したにもかかわらず、とても面白いゲームになりました。少なくとも我が家ではカードゲームの定番入りを果たしました。既存のカードゲームに飽きて新鮮なものをお探しでしたら、まずはお手持ちのトランプで、ぜひやってみてください。細かいルールは、状況に応じて変更したり付け足したりしていただいて、全く問題ありません。

ゲームが気に入ったら、オリジナルカードの作成もオススメです。家族やぬいぐるみ、ペットなどを登場させたら、見ているだけで楽しいカードになりますよ。もっとも、54枚ものカードに細かい絵を描くのは結構な手間ですので、簡単な文字とマークのみでも十分と思います。その場合、カードの中央付近にしか字や絵がないと、上の写真のように手札を扇状にして手に持ったとき、一見して何の札か分かりにくいですので、カードの角にマークを入れることをおすすめします。うちは作り終えてからそのことに気づいたので、後からカード種別に色を決めて角を三角に塗りました。できあがったら、手札を配っていざ出航です。横暴な船長命令、ぜひ出し合って宝探しのアドベンチャーを楽しんでください。