おままごとキッチンは、女の子の夢の結晶ですね。3歳でも30歳でも、マイキッチンというものに抗しがたい魅力を感じるのは女の本能であるようです。けれどままごとでも本物でも、こだわりと予算との兼ね合いはつけなければなりません。素敵だな、と思うキッチンはやはりそれなりにお高い・・そこで我が家では、キッチン本体は中古で安く手に入れて、自分好みにリメイクしました。
- 製作費用:4,930円
- 所要時間:1ヶ月
本体はメルカリで購入したのですが、やや難のある状態で届きました。そもそも中古で、傷や汚れありの品だったのですが、さらに輸送中に数箇所破損したのです。最初からリメイク前提で購入したのでさほど気にしなかったのですが、この破損のおかげで実はメルカリの補償がおりて、取引が無効になり品物だけが手元に残りました。つまり、実質タダで手に入りました。なので、製作費用は純粋にリメイクに要した金額です。組み上がった状態で届いた品を一度ばらばらに解体し、破損箇所を修復し、全パーツを下塗り、本塗りしたので、それなりに時間がかかりましたが、それだけに愛着のわく一品となりました。
夢のキッチンはどんなキッチン?
前述の通り、最初に届いた際には、前に使っていた子の貼ったシールの剥がし跡が各所にあり、輸送中に角は欠け、引き出しにはひびが入った状態でした。とはいえ正直に言うと、娘はそんなことあまり気にしていませんでした。自分のキッチンが手に入ったということがとにかく嬉しかったらしく、なにも頓着せずその状態でせっせと遊んでいました。なので、リメイクは子どもの希望というより、ママのこだわりによるものです。
色目も、当時3歳の娘にはまだそれほど強いこだわりがなかったので、これ幸いとママの好みで決めました。そういう意味でも、子どもの夢の実現というよりは、ママの夢を反映させたキッチンなのですが、それはそれで方向性が一貫していてよかったんじゃないかと思っています。「未来の夢のキッチン」はいまだにちょくちょく娘との間で話題になりますが、「ママの夢のキッチンはどんななの?」と聞かれるたびに、「お前のおままごとキッチンだよ。あれは、ママの理想のキッチンそのものなんだから」と答えることにしています。すると(やっぱり、私のおままごとキッチンって最高よね)というように、ちょっと嬉しそうな顔をするのが面白いところです。そして「このキッチンもいいけど、私が大きくなったらね、」と楽しい夢を語ってくれます。
解体しながら図面と作業表をつくる
リメイク作業において最も娘の心を捉えたのは、既存のキッチンを解体する際に、あとで元通りに組み立てられるように私が書いた図面のようでした。「どこに、どんなねじがはまっていたか、覚えておかなくては駄目だよ。全部の部品に番号をふるからね」という私の言葉に、何かすごいことが始まっているらしいという意識をもった3歳の娘は、非常に熱心な助手として活躍しました。「3番の板からはずしたねじの数と種類を確かめてくれる?」「おっけー!えっと3番板のねじはねー、4本!2番のねじと同じかな。あ!長さちがう。じゃあこれ新しいねじだ。番号ふらなきゃ!」という具合です。もちろんママが片目ですべて確認しながらの声かけだったのですが、こういう具合でしたので、本人はリメイク作業班の重要なメンバーとして自負に満ちていました。
フリーハンドの適当なものではありますが、上のような図面を書いて板番号とねじ番号を書き入れ、外したねじは種類ごとに数を確認して袋に入れました。そしてどのパーツを何色に塗るか、着色以外にどんな作業が必要か確認して、下のような「作業表」を作りました。これも非常に子どもの心を捉えたようで、自分で書くと言って一生懸命ぐにゃぐにゃの表を書き上げ、ママの仕事ぶりをチェックしては進捗を書き入れていました。
塗り替えに失敗しないための一手間
リメイクの主な作業は色の塗り替えだったわけですが、ペンキ選びにはかなり迷いました。というのは、元が上質な一枚板ではなく化粧板なので、表面がツルツルしているのです。この上にただペンキを塗っては、数週間で剥がれることになりかねないという予感がして、いろいろ調べた結果、ミッチャクロンというプライマーを下塗りすることにしました。これを塗っておくと、塗料の付着性が高まって剥がれにくくなります。コストも2倍、塗る手間も2倍になりますが、子どもが毎日のようにままごと道具を出し入れするキッチンには、一にも二にも耐久性が大事と思い、ここははしょらず一手間かけました。
ペンキには、PROSTという会社のファインペイントシリコンという水性塗料を使用しました。高耐性で防藻・防カビ効果をもち、ライトカラー21色、ビビットカラー13色、ディープカラー10色という豊富なラインナップ、つや消し・つや有りも選べて、かつ10mlのサンプルを安価に購入できるので、とてもおすすめです。うちも、メインカラーをホワイトクリームにするかピュアホワイトにするか迷ったので、事前にサンプルを送ってもらって試し塗りしました。最終的に選んだのは、つや消しピュアホワイトです。棚と天板にはつや有りブラックを使いました。
作業の流れと仕上がり
作業手順としては、まず全てをばらばらの板に分解してから、
- 破損箇所に補修用パテを詰める
- 乾いてからヤスリがけして形を整える
- ハケでミッチャクロンを下塗り
- 乾いてからローラーでペンキを塗布
- 乾いてからローラーでペンキを二度塗り
- 蛇口、コンロ、つまみなどの部品はスプレーで着色
ここまで済んでから、最後にまたすべてを組み立てました。残念ながら作業中の写真がほとんど残っていないのですが、とりあえず完成形はこのような感じです。
基調は白にし、上の棚と天板のみ黒、蛇口やコンロなどの部品は金色にしました。背面が白板一枚だと少し物足りない感じがしたので、下の部分にキャンドゥで購入したタイル柄のクッションシートを貼って軽くアクセントにしています。ちなみに上の棚に飾ってあるのは、セリアで売られている本物の食器、鍋はアメリカで97%オフというとんでもない大特価で買った、これも本物の銅製ミニ鍋です。
また、引き出しにもともとついていた取っ手は、セリアで購入した引き出し用つまみと取り替えました。これは実は、この部分をカチャカチャ回せるコンロのつまみにしたいという娘の要望があったからで、コンロが3口なので、引き出しの真ん中に穴を開けてつまみをもうひとつ取り付けてやろうと思っていたのです。ところが、後回しにしているうちに他の部分が仕上がり、そうなってみるともう面倒でなかなか着手せず、結局コンロのつまみは2つのまま数年経ってしまいました。すまん娘よ・・
欠けたりひびが入ったりした破損箇所に関しては、ダイソーで購入した補修用パテ1本で、わからないほど完璧にとはいきませんでしたが、遠目に目立たない程度には修復できました。
心配していたペンキ剥げですが、数年間ガチャガチャと銅製の鍋をぶつけまくり、木製の野菜をぶつけまくっても、ほとんど剥げませんでした。天板の縁だけ少しやられましたが、これだけヘビーユースしてこの程度なら上々かと思われます。ただ、戸棚の内側は、剥げるというより物の出し入れによる摩擦で少々黒ずみました。また扉の蝶番の金具が錆びついていて、酢に漬け込んでも磨いてもどうしても落としきれなかったので、開け閉めするたびにさびの粉が落ちて、蝶番の下が黒く汚れがちです。これは中古なのである程度仕方がないですね。まあ許容範囲かと思っています。
下の表は、リメイクのために購入した品の一覧です(価格は数年前のものです)。ペンキ以外はどれも数百円で調達できました。金色スプレーは質の良いものをと思ってホームセンターで購入したのですが、その後別の工作のために購入した100円ショップの品と比べて大差なかったように思います。ひょっとしたらペンキも、もっと安価なもので支障なかったかもしれません。ただ今回は、ままごとキッチン本体が偶然タダで手に入ってしまったので(元の取引金額は5,000円でした)、その分のお金はリメイク代に費やそうと思ってあまりケチらずできるだけ良いものを選びました。
ミッチャクロン 1L | 1,500円 |
白色ペンキ 1kg | 1,470円 |
黒色ペンキ 100g | 380円 |
金色スプレー 100ml | 620円 |
ハケ | 320円 |
ペイントローラー | 110円 |
ペイントローラー取替え用 | 110円 |
破損修復用パテ | 110円 |
やすり | 90円 |
タイル柄リメイクシート | 110円 |
引き出し用つまみ | 220円 |
総額 | 4,930円 |
総合評価:出来栄えとオススメ度
数年の使用を経てあらためて総合評価すると、このような感じです。
子ども受け:
耐久性 :
見栄え :
耐久性を星ひとつ減らしたのは、天板の縁に多少ペンキ剥げが生じたのと、戸棚内部の黒ずみのためですが、正直なところこの程度の経年劣化で済めば十分ではないかと思います。
オススメ度ですが、リメイクにかかった費用がおよそ5,000円、不慮の破損事故がなければ中古のキッチン本体が5,000円でしたので、総額1万円。その1万円で新品のおままごとキッチンを買うことも十分可能だと思います。解体と色塗りには結構な労力を費やしたので、リメイクの方が断然良いとまでは言いません。ただ、リメイクの大きなメリットをあげるならば、ありがちなテイストに縛られず自分好みの外観にできるということ、そして子どもに物を作り上げる楽しみを与えられるということです。子どもは「ひみつの◯◯作戦」みたいなものが大好きですね。この「キッチンリメイク大作戦」は、3歳の娘の心に大きなインパクトを残した気がします。6歳になる今でも解体・組み立てが大好きで、自分でもさまざまな作品をつくりますし、一時期は何をつくるにも「せっけいず」をなかなかそれっぽく書いていたのには感動しました。板を切り出して完全ハンドメイドのキッチンを作ってやるのはハードルが高いですが、リメイクだけでも子どもにとってはきっと良い経験だと思います。