今回は、赤ちゃんの毎月の成長を記念する「月齢カード」または「月齢シール」のお話です。誕生から1歳の誕生日を迎えるまでの12ヶ月間、月齢を書いたカードまたはシールを赤ちゃんに持たせたり貼り付けたりして、写真を撮るというものです。
うちは長女をアメリカで出産したのですが、出産前にEnfamilの粉ミルクの試供品を注文したら、おまけとしてこのような “monthly stickers” がついてきました。手に入ったならやってみるかということで、毎月おなかに貼り付けて写真を撮ってみたのですが、これがとてもよかった。おとなしくおなかに貼らせてくれるのは最初の数ヶ月のみで、寝返りが始まればシールを下にくるりと腹ばい、ずり這いが始まればカメラにおしりを向けて大脱走、そのうちシールの存在が気になりだして、剥がすやら握りつぶすやら、毎月うまくいかずに苦心惨憺大騒ぎなのですが、そのひとつひとつが良い思い出で、1歳過ぎて恒例の写真騒動がなくなった時には寂しい思いをしたほどでした。
そういうわけで、次女の時にも是非やろうということで、妊娠中にずいぶん探したのですが、これぞと思うものに巡りあえませんでした。というより、種類が豊富すぎて選びきれなかった感じです。丸型のシールより四角いカード状のものが多いようですが、さまざまなテイストのものが出回っています。
ところが、私が迷いぬいてAmazonの画面をにらんで唸っていると、上の子が横から一言「ねえねがつくったげようか」と言いました。おおお、名案です。さすがはママの娘、発想が似てきました。たしかに似たような商品の中から決め手のないまま一つ選ぶよりは、作った方が唯一無二の記念になりそうです。そういうわけで、次女の月齢カードは手作りしてみることにしました。
- 製作費用:660円
- 所要時間:1つにつき10分〜数日
台紙につかったのは、ダイソーで見つけた直径9cmのペーパーコースターです。これは大きさも厚みも非常に理想的でした。最近店舗で見かけなくなってしまったのですが、まだ販売されていたらとてもオススメです。私が買ったころは10枚で110円だったので、2組買いました。
あとは作った月齢カードを飾る板として、ダイソーの20cm×30cmのデザインボードを2枚、それにコードを壁に這わせるための「コードフック」を1組買いました。コードフックを何にしたかというと、台紙の裏に貼り付けて、フックの部分をデザインボードの穴に差し込み、好きな位置に並べて飾れるようにしたのです。これは、あとから並べ替えもできて便利でした。
そういうわけで、台紙に220円、ディスプレイのために330円使いましたが、それ以外には材料をほとんど買わず、あるもので作りました。例外的に、刺しゅうする際に上の娘がやりやすいように、ダイソーの「刺しゅう布」を買って使っています。所要時間は1枚ずつまちまちで、手抜きなものは10分程度でちゃちゃっと、手のかかるデザインのものは数日かけて作りました。本当は妊娠中に作っておきたかったのですが、現実にはまったく時間がなく、毎月誕生の記念日がせまるごとに、大急ぎで1枚ずつ仕上げることになりました。深夜に糊とハサミを手にしては、0歳児の育児真っ最中にこんな工作している場合かと、毎回ぶつぶつ自問したものでしたが、それも終わってみれば良い思い出です。
以下ではモチーフごとに分けて、デザインの紹介と作り方の説明をしたいと思います。
モチーフ1:家族の記念の品を貼り付ける
せっかく手作りなので、自分たちだけの思い出の品を貼り付けたら、良い記念になりますね。うちの次女は夏生まれなので、月齢カード「1」には、前年の夏にビーチコーミングで拾った貝殻や小石を貼り付けました。数ヶ月後には秋になっていましたので、長女と次女と三人で公園にどんぐり拾いに行って、そのとき拾ったどんぐりと小枝で月齢カード「4」を作りました。こういうのは、後から見ても「あのとき拾ったどんぐりだね」と話がはずみます。
月齢カード「10」は番外編と言った方がよいですが、この頃ちょうど別記事で紹介した、ベビーサークルに知育ボードを取り付ける 〜手作り「ごぶごぶ ごぼごぼ」ワールド〜が完成したところだったので、ホールソーで板をくり抜いた際に出た丸い端材に色を塗って貼り付けて、「ごぶごぶ ごぼごぼ記念カード」にしました。これは10ヶ月の次女がたいそう気に入って、ニコニコ握りしめていました。
ただ、記念品を貼る時に注意したいのは月齢です。月齢が小さい間は、何をどう作っても本人の手に触れないので問題ありませんが、ある程度カードに興味をもって自分で手に取るようになると、貼ったものをむしり取ったり、口に入れたりしかねませんので、誤飲には気をつけましょう。
モチーフ2:季節のイベントをデザインにする
季節感を取り入れたとき面白いのは、赤ちゃんの生まれた月によって、どの月齢が何月に当たるか変わってくるということだと思います。たとえばうちの次女は7月生まれなので、月齢カード「3」はハロウィンを、月齢カード「5」はクリスマスを、月齢カード「9」はイースターをイメージしたデザインにしました。別の月に生まれたお子さんだったら、同じイベントをモチーフにしても、真ん中の数字が変わってくるはずです。「はじめてのクリスマスは生後何ヶ月の時だったな」「ハロウィンでかぼちゃロンパース着せたのは何ヶ月の時だったな」と、月齢カードを見ながら思い出すのも楽しいですね。
ちなみに「3」はフェルトを切って貼っただけ、「5」は厚紙に絵の具と金ペンで色を塗って貼り付けただけの簡単な作りです。「9」のイースターエッグは、フェルトを卵型に切って、白い糸で大きめの玉留めをいくつも作って模様にしました。真ん中の数字は、セリアで買った花柄のトレーシングダイカットシールでできています。
モチーフ3:赤ちゃんの成長を記念する
月齢カード「6」は、離乳食の開始を記念したデザインにしました。数字の「6」を形作っているのは、義母が前年の秋に近所の草原で集めてきてくれた「ジュズダマ」という植物の実です。またミニスプーンは、主人の叔母が出産祝いをくれた時の御祝儀袋についていた飾りです。いろんな人の温かな気持ちが記念に残せるのも嬉しいですね。
月齢カード「11」は、歩き始めた記念として靴をデザインに取り入れました。梅雨シーズンだったので、ブーツの形に切ったフェルトと、雨粒をイメージしたボタンをつけました(むしり取られないように、台紙に針を通す穴をあけて、糸で縫いつけてあります)。こうして成長の各段階と、その時の季節感をいっしょにデザインに取り込むことができるのも、手作りならではかと思います。
モチーフ4:上の子の成長を記念する
ちなみに手作り案の言い出しっぺ、うちのねえねですが、最初はやる気まんまんで、特に「刺しゅうしてみたい。刺しゅうで作ってあげたい」と言っていたので、わざわざダイソーで専用の「刺しゅう布」を買ってきて、私が下絵を描いてやらせようとしました。それが、月齢カード「2」のひまわりのデザインです。ですがこれは完全な失敗で、長女ときたら一針も縫いませんでした。これはママの落ち度で、デザインの構想を練って下絵を描いてやるのに時間がかかりすぎたのです。子どものやる気なんて言い出した瞬間がピークで、あとは指数関数的に激減するのが常ですから、言い出したらすぐ針をもたせてやらなければなりませんでした。「さあ準備できたからやってごらん」と言ったときにはやる気ゼロだったので、これは仕方なくママが生後1ヶ月の次女の授乳の合間をぬって自分で仕上げました。
ところが半年弱経った頃にまた「刺しゅうしてみたい」と言い出したので、今度はそれっとばかりに簡単図案でちゃっちゃと下絵を描き、糸の色も本人に選ばせて、やる気ピークの時に着手させました。クロスステッチで糸を交差させるのも難しさの元なので、もうクロスさせずに1マスにつき斜め線1本でやらせました。
しかしそれでも、やり遂げさせるのは至難の技でした。ダイソーの「刺しゅう布」は優秀な商品で、初心者でも非常に簡単にクロスステッチができるのでおすすめですが、ダイソーの刺しゅう糸は子どもに使わせるにはおすすめしません。糸が絡まりやすく切れやすく、せっかく本人が十分丁寧な仕事をしているのにすぐにつっかえて、ほどいてやらなければならなくなります。うちでは以前買ったダイソーの刺しゅう糸が大量に余っていたので使わせたのですが、このせいでだいぶ長女のやる気はそがれました。今度やらせる時は、少し高くついても手芸店の糸を買ってやろうと思います。
しかしなんだかんだを乗り越えて、とうとう月齢カード「7」は一針残らず長女が自分で仕上げました!おだててせっついて、7ヶ月の記念日当日午前中の仕上がりでした。このぎりぎりっぷり、先が思いやられますが、それでも少しも手をつけなかった「2」と並べると、彼女なりの成長を感じます。
本当はこれに続き、「8」のフェルトフラワー、「9」の玉留め、「11」のボタンつけもやらせるつもりでしたが、「7」で刺しゅう熱も冷めた長女はまるっきり興味を示しませんでした。せっかく裁縫の練習に最適なデザインをわざわざ考えたのに、やれやれです。そんなわけで「上の子の成長ぶりを形にして残そう」という目論見は、本人のやる気次第でうまくいったりいかなかったり。終わってから並べてみると、それもまた「まったく」と楽しい苦笑の種ですが。
ちなみに、フェルトフラワーをこの大きさで作るのは(特に今回は梅をイメージしていたので梅らしくぷっくり作るのは)大人でも難しかったので、子どもには無理だったと思います。玉留め、ボタンつけあたりなら、上のお子さんの年齢にもよりますが、一緒に楽しくできると思います。
使用感とマンスリーフォトの撮り方
下の写真は、今回の手作り月齢カードを使って撮った生後3ヶ月のマンスリーフォトです。直径9cmですと、生後1〜3ヶ月の赤ちゃんの顔と月齢カードが同じくらいのサイズ感になります。この時期はおなかに置いて写真を撮れるので楽ですが、生後4〜5ヶ月になって寝返りが始まり、物に手を伸ばしてつかむようになってくると、カードの置き場所を考えなくてはなりません。
長女の時はシールだったので、「シールの端をつまんで服から引き剥がす」という高等技術を覚える生後9ヶ月頃まで、おなかに貼るスタイルでなんとか撮影しましたが、今回の手作り月齢カードは簡単に手で持ち上げられるので、生後6ヶ月からはもうおなかに置けなくなりました。そうなると、
- 赤ちゃんの近くに片手でカードをかざしながら片手で撮影
- カードを持って抱っこした誰かとツーショット
などの工夫が必要になります。いずれにせよ、カードを奪い取ろうと手を伸ばし続ける赤ちゃんとのすったもんだの戦いになります。生後9ヶ月くらいになると、もうあきらめてカードを与えるしかありません。なので、少し握りしめても舐めてもやぶけない程度の強度が必要になります。そして、赤ちゃんがカメラ視線で、かつカードを正しい向きに持ってくれる奇跡の一瞬をねらって、大量のボツ写真を撮ることになります。
もし与えたら壊れるようなデザインにしてしまった場合は、「手の届かないところに置いて写真を撮る」しかないですね。最後に作った「1st birthday」のカードは、虹のデザインにしたのですが、雲の部分に綿を使ってしまったので、与えた瞬間むしられて、手に持たせることをあきらめました。
そんなわけで今回の手作り月齢カードも、毎月満足いくマンスリーフォトを撮るために、苦心惨憺大騒ぎだったわけですが、やはりそれが醍醐味といいますか、その騒ぎを楽しみました。ペーパーコースターは思ったより頑丈で、長女の時の月齢シールは、握りつぶされ皺くちゃになったのをクリアファイルに貼って皺を伸ばしてなんとか保存した感じですが、今回は比較的長時間好きにいじらせたにも関わらず、ひとつもぶよぶよになったり壊れたりしませんでした。もっとも口に突っ込んで歯を立てたりしたら、いくらペーパーコースターでも限界があると思いますので、好きにいじらせるといっても被害が最小限になるよう終始見張っていましたが。結果的に被害はゼロで、使用後に飾っておけるだけの状態をキープできました。
総合評価:手作りのメリットデメリット
ここまで製作の経緯と使用感をお話ししてきましたが、総合的に評価して、月齢カードは手作りする価値があるか、と聞かれたら答えはYesです。おすすめする理由としては、
- 自分たちだけの思い出の詰まったデザインにできる
- 素材を選べばずっと飾っておける作品にできる
- 家にあるもので気軽にお安く作れる
ということが挙げられます。12ヶ月分作り終えて並べて飾ると、ひとつひとつの作品から1年間の出来事がさまざまに思い出されて、とても良い記念になります。デメリットとしては、
- 育児に追われる中で毎月手作りするのは大変
- デザインが思いつかない
というのが、実際つくってみてリアルに感じた負担でした。特に6ヶ月も過ぎて後半になってくると、そろそろデザインのアイディアが尽きてスランプに陥ったりします。ただ、ひとつの提案としては「そんなに凝らなくていい」ということです。実は我が家の月齢カードは、上でご紹介したものの他にあと2枚ありまして、生後1週間記念のものと、生後100日記念のものですが、どちらも長女がひとりで作りました。
凝り性で必要以上に時間をかけてしまうママとは性格がちがうのか、年齢のゆえか、あっぱれなほど短時間でさばさばと作ってくれました。でもこれはこれで妹への思いに満ちた、愛らしい作品ではないでしょうか。そして全編この路線で子どもに任せるのもありだと思います。ママがつくるにしても、この程度のペン書きで何も差し支えないですね。負担に感じるくらいなら、凝らずに時短で。手作りを楽しむ道はいろいろあると思います。
そしておしゃれな既製品のカードにも、捨てがたい魅力がありますので、買ってももちろんよいと思います。どんなカードであれ、赤ちゃんは成長とともに奪い取り、握りしめ、舐めてみようとするでしょう。そんな赤ちゃんに、「あーっと手を離して〜」「カードはいいからこっち向いて〜!」「カード持つならこっち向けて〜!表裏逆だよ〜!今度は上下が逆〜!!」と勝手な注文をする、そんな騒ぎをどうぞ楽しんでください。撮り終わったら並べて飾るのがおすすめです。