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オルゴール付きびっくり箱(Jack in the Box)を手作りする

びっくり箱 おもちゃ

ジャック・イン・ザ・ボックスというおもちゃをご存知でしょうか。単に英語でびっくり箱という意味ですが、アメリカのAmazonで”Jack in the Box”と検索すると、出てくるのはほぼすべて、ブリキの缶に入っていて側面にハンドルがついたタイプです。ハンドルを回すとオルゴールが鳴り、曲が鳴り止むと同時にポンっと蓋が開いて人形が飛び出してくるというものですね。クリスマス映画「エルフ〜サンタの国からやってきた〜」(2003)で、主人公のバディがうんざりしながら何十個も検品しているあれです。今回はそれを手作りしてみました。

まずは完成品の動画をどうぞ。

この後さらに修理・改良したので、動画に写っているのは最終版ではないのですが、大体このような形にこぎつきました。結論から言ってしまうと、おそろしく難しかったです。これまでも何かとおもちゃを手作りしてきましたが、ここまで悪戦苦闘したのは初めてでした。ただ製作費は、既製品を買うよりかなり抑えられています。

  • 製作費用:942円
  • 所要時間:1ヶ月

お安く済んでよかったというべきか、お金より苦労がまさったというべきか、手作りするたびに迷うところですが、今回は圧倒的に苦労がまさりました・・面白いといえば面白かったですが。以下では、なぜそこまでしてこのおもちゃを手作りすることになったかという経緯と、仕掛けの仕組み、そして作成の手順をお話ししたいと思います。

誕生日プレゼントにJack in the Box

最初にこのおもちゃに興味をもったのは、長女をアメリカで出産・子育てしていた頃でした。ブリキ缶の可愛らしさにも惹かれましたし、ポンっと人形が出てきたときの子供の驚きの顔を見たい親心もあって、有力なプレゼント候補のひとつだったのですが、結局買わなかったのは、動作不良を嘆く声が極めて多かったためです。オルゴールが鳴り止んでも蓋が開かなかった、曲の途中で開いてしまった、蓋が閉じなくなった等々、残念な話がネットの商品レビューにあふれているので、購入をためらっているうちにアメリカ生活が終わってしまいました。

もう一度このおもちゃのことを思い出したのは、日本で生まれた次女の1歳の誕生日プレゼントを探している時でした。下の子のプレゼント選びって難しいですね。上の子のときに選びぬいて買った最良のおもちゃが既にあるので、何を買ったらよいか分からなくなります。そこで考えあぐねているうちに、アメリカで見たJack in the Boxが再度プレゼント候補として浮上しました。日本製のものは見たことがありませんが、輸入品がAmazonで扱われています。このおさるのジョージなんて、とても可愛いですね。

問題は、日本から買うと結構高額になってしまうことと、前述した動作不良の可能性でした。でも他のプレゼントが思いつかないしな・・と半ば以上買う気で主人に相談したところ、びっくりの一言が飛び出しました。

「こんなの、作れそうじゃない?」

おおうう、自分ではひとつも作ったことがない人が、よくぞ言ってくれます。私は最初自信をもって否定しました。これまでのおもちゃ作りの経験から判断して、これは難しい、まず無理だと。オルゴールが一回転するたびに、必ず確実に何らかの仕掛けが作動して蓋が開かなければならない、さらに一度ポンッして蓋を閉じたら仕掛けがリセットされなくてはならない、これは一筋縄ではいかないと思うと。しかし主人はどういうわけか簡単説を固持しました。

「そうかなあ。こんなの、ちょいちょいっとなんかこう、うまいことやったらさ、さくっと簡単にできそうじゃない」

この未経験者の浅はかな妄想に踊らされたのですから、ママもなかなかの愚か者です。その時ふと思い出したのが、以前の記事でもご紹介したおもちゃの太鼓でした。

とても簡単にできて見栄えもよくて、お気に入りではあるのですが、正直言ってふたつは要らないなあと常々思っていたのです。だからこのうちのひとつをびっくり箱に改造できたら一番いいんじゃないかと・・思いついてしまったのですね。「じゃあひとつ、やってみるか」これが1ヶ月の大苦戦の幕開けでした。

オルゴールが鳴りやむと蓋が開く仕掛け

手作りびっくり箱、それもオルゴール付きのびっくり箱を実現するには、まず「オルゴールが鳴りやむと蓋が開く」仕掛けの仕組みを知らなくてはなりません。これに関しては、非常にわかりやすい動画を発見したので、参考にさせていただきました。

なんと目の前でびっくり箱のブリキ缶をまっぷたつにして中を見せてくれます。豪快です。おかげでよくわかりました。仕掛け自体はとても簡単です。オルゴールは突起のついた糸巻きのようなもの(シリンダーというらしいです)がぐるぐる回って金属板を弾くことで音が出ていることは皆さんご存知だと思いますが、そのシリンダーの外枠の一箇所に「蓋を開けるための突起」をつけておくのです。そうすると、オルゴールが一回転して突起が所定の場所にきた時に、蓋のロックにつながるアームに触れてそれを持ち上げ、蓋が外れてばね仕掛けの人形が飛び出すことになります。

突起が通り過ぎると、突起に押されていたアームは元にもどります。そして一度飛び出した人形をふたたび押し込めて蓋のロックをかければ、すべては最初の状態にもどります。とても簡単で、よくできた仕掛けですね。

作成プランと必要品の入手

仕組みがわかったところで、自前のびっくり箱に仕掛けをセットする算段に入ります。必要なものは、大きく分けて以下の6つです。

  1. 蓋つきの入れ物(びっくり箱本体)
  2. 手回しオルゴール
  3. オルゴールと蓋のロックをつなぐアーム
  4. 蓋のロック
  5. ばね
  6. ばねに被せる人形

1.については前述したように、すでに手作りしてあったおもちゃの太鼓を使うことにしました。蓋ではなくて下敷きに帆布を貼った打面がついているだけですが、この部分を本体とテープで止めて蓋にしました。ただ、この太鼓は意外と大きくて、高さが20cm近くあります。よって太鼓内部を上と下に分けて、下の部分にオルゴールを装着し、上の部分にばね仕掛けの人形を入れた別箱をセットすることにしました。

びっくり箱 - 構造

2.の手回しオルゴールは、Amazonで数百円代から取り扱いがあります。ただしお安いものは配達に10日〜2週間近くかかってしまうので、誕生日までに間に合わせたい都合上、今回はフリマで同等のものを探して入手しました。この工作では、オルゴールのシリンダー部分に「蓋を開けるための突起」を取り付けなければならないので、プラスチックや木のケースに入った状態で売られている場合は、ケースから取り外せるかどうかが重要になります。今回入手したものもプラスチックケースに入っていましたが、幸いネジ止めだけで接着されていなかったので、中からオルゴールを取り出すことができました。

びっくり箱 - オルゴール

3.のアームと4.のロックは、すべて割り箸やらペーパークリップやら、そこら辺にあるものをかき集めて実現しました。6.の人形も、古くなった主人のセーターを切って手作りしました。残る材料は5.のばねですが、これは目的にぴったりのものが、その名も「びっくり箱用ばね」として売っていました。びっくり箱を手作りしようなんて考えるのは自分だけかと思いましたが、需要があるのですね。

ピアノ線でできていて、非常に強い弾力をもっています。この弾力のおかげで、人形が元気良くポンッと飛び出すわけです。同時にこの弾力のおかげで蓋のロックに強力な負荷がかかり、製作が難航したわけですが・・とりあえずばねが242円、オルゴールが700円で、製作費用は942円でした。

いよいよびっくり箱を作る

主な材料がそろったところで製作に入ります。

オルゴールに仕掛けを仕込む

一番肝心なのは、オルゴールが一回転するごとに蓋のロックが外れる仕掛けを作ることです。このためにはまず、シリンダーに専用の突起をつけなければなりません。オルゴールをプラスチックケースから取り出すところまではよかったですが、困ったのはシリンダーとシリンダーを支える金属の土台の間に、1〜2ミリの隙間しかないことでした。土台に引っかからずにシリンダーが回転するためには、わずか2ミリ以下の突起しか取り付けられないことになります。そこで突起の材料として使ったのが、iPhoneのSIMカードを抜き差しする時に使うSIMピンでした。

びっくり箱 - 突起に使ったSIMピン

写真左は断面が丸いタイプですが、実際に使ったのは写真右の平たいタイプです。これを写真のようにニッパーで切り、真ん中の音叉のような形の部分をシリンダーに貼り付けました。100円ショップの金属用瞬間接着剤を使いましたが、一瞬で強力に張り付く上にわずかでもずれたらシリンダーが回らなくなるので、ピンセットをもつ手がぷるぷる震えました。

びっくり箱 - 突起を接着したオルゴール

接着成功して突起のついた状態のオルゴールが上の写真です。次の工程で作るアームと合体するために、すでにありあわせの木片で作った土台に取り付けてあります。

次に作るのは、この突起が通り過ぎる時にアームが持ち上げられて動く仕組みです。突起自体の大きさがわずか2ミリ弱なので、何より肝心なのはアームが左右にぶれないということでした。1ミリでもずれたら突起がアームにかすりもせずに通り過ぎてしまいます。上下には動くが左右にはぶれにくい、そんな都合のいい材料はないだろうかと引き出しをかき回していたら、ありました。腕時計の金属ベルトです。

びっくり箱 - アームに使った腕時計ベルト

腕時計を購入してベルトの長さ調整をしたときに余った部品です。金属片のひとつひとつがピンで接合されて並んでいるので、ベルトの縦方向に対しては自由自在に曲がりますが、横方向にはほとんど曲がりません。まさにぴったり。これを使ってしまうと、将来腕が太くなったときに腕時計のサイズを変えられなくなりますが、あんまりぴったりなので使ってしまうことにしました。上の写真でベルトの先から触角のように2本突き出しているのは、ペンチでまっすぐにのばしたペーパークリップです。これを一番端のピン穴に差し込んで上に伸ばし、割り箸を取り付けてアームにしました。さらに突起が通過し終わったらアームが元に戻らなければならないので、上部にボールペンを解体して取り出したばねを取り付けました。仕掛け部分の動作確認した動画があるのでどうぞ。

壁に仮止めして撮影したのでグラグラしていますが・・腕時計ベルト&割り箸で作ったアームは、下を通過する突起によって持ち上げられて傾いたあと、上についているばねの力で元に戻ります。ちなみにオルゴール上部にちらほらしている赤や黄色や青の物体は、少しでもアームの横揺れを防ぐために隙間につめた消しゴムです。進研ゼミのおまけでついてきたレインボー消しゴム、消え味は恐ろしく悪かったですが、こんなところで役に立ちました。

ハンドルを箱の外に伸ばす

次に改造が必要なのは、オルゴールのハンドル部分です。市販の手回しオルゴールのハンドルは、当然ながらオルゴールのすぐ横についていてとても小さいので、びっくり箱の外まで届きません。そこで、長めの六角ボルトをハンドルにくくりつけて箱の外まで伸ばし、外からレンチで回すことにしました。六角レンチはL字のものが多いですが、手持ちのレンチの中に1本「Z」字型のものがあり、回しやすそうだったのでハンドルとして採用しました。

びっくり箱 - ハンドルに取り付けた六角ボルト
びっくり箱 - ハンドル代わりの六角レンチ

びっくり箱の外側につねにハンドルが突き出していると、何かに引っかけて落としたり壊したりしがちなので、そういう意味では取り外し可能なレンチハンドルは名案でした。ただ、ボルトに押し付けながら回さなければならないので、小さい子どもには少し難しいです。6歳の長女はコツをつかめばできましたが、1歳の次女には全く無理でした。

ばね仕掛けの人形をつくる

びっくり箱下部のオルゴール部分が完成したら、上部の人形部分を作成します。人形部分を入れる別箱としては、700gのお味噌のパックがちょうどよかったのでこれを使いました。箱の底に穴をあけてばねを通します。

びっくり箱 - ばねを仕込んだ味噌パック

箱の底から突き出たばねは切りました。硬いピアノ線でできていたので私では歯が立たず、ここだけ主人の力を借りました。余分なばねをカットできたら、古くなって穴があいたセーターの袖をジャキジャキ切って味噌パックにすっぽり被せ、同じセーターで作った人形の顔と手を縫いつけます。

びっくり箱 - ばねに被せる人形

最初に作ったときには、味噌パックに被せた布地に直接顔を縫いつけたので、びっくり箱と人形が一体化した状態でした。しかし実際に子どもに与えてみると、この箱から飛び出したお人形さんと遊びたい・・というのが自然な欲求で、手を伸ばして引っ張り出そうとするので、後で人形だけ取り出せるように作り直しました。これについてはこの後もう一度お話しします。

びっくり箱 - オルゴールをセットした状態

オルゴールをびっくり箱内部に接着し、側面にあけた穴から六角ボルトの先端を出したら、オルゴールと干渉しないようにPP板で仕切ってから、空いている部分に緩衝材を詰めます。オルゴールから伸びたアームの周りもPP板で囲い、味噌パックの一部を切り取ってアームをよけるようにして上からはめます。これで、外観はほとんど完成です。

蓋にロックをつける

あとは蓋にロックを取りつけ、アームの動きによって外れるようにすればよいだけです。最初に作ったロックは、下の写真のようなものでした。

びっくり箱 - ロックの部品

右の部品をアームの先端に取りつけ、左の部品を蓋に取りつけます。ちなみにそれぞれ、木製洗濯バサミと木ダボからできています。蓋を上からぎゅっと押し付けると、ふたつの部品が噛み合ってロックがかかり、アームが動くとロックが外れるという仕組みです。

実のところ、ここまでの製作は非常に順調でした。このロック機能にしても、仕組み自体はシンプルで何の問題もなさそうに思えたのです。ところが、実際にロックをかけるとなった途端に製作が頓挫しました。失敗と故障の連続・・問題は、ばねの力が想定をはるかに超えて強いことにありました。ロックがどうしてもかからない・・ロックを取りつける位置や角度を何度も調整し、やすりがけで形を微調整しましたが、内側からぐいぐい押してくるばねの力に負けてするりと外れてしまいます。ようやくかかったと思うと、今度はオルゴールが一曲鳴り終わらないうちに、内部でゴトリと音がしてどこかが壊れます。ロックをかけている間じゅう、ロックとつながっているすべての部分に強力な負荷がかかるので、少しでも接着が弱い箇所があるとそこがやられてしまうのです。ゴトリ・・という音を聞いては、味噌パックを取り出し、仕切り板を外し、オルゴールを取り出し、破損箇所を補強し、すべてを元通りに組み立てる・・連日それの繰り返しで、次女の誕生日はせまってきますし、テスト勉強が終わらない学生時代に戻ったような泣きたい日々でした。ようやく補強できる箇所はすべて補強し、危ういながらもロックがかかるようになって冒頭の完成品の動画を撮影したのは、誕生日の前日でした。

誕生日サプライズ大失敗

大苦戦して仕上げたびっくり箱、誕生日の朝にハンドルを回して”Happy Birthday to You”を一曲聞かせ、ポンッと飛び出す人形で喜ばせる・・という算段でしたが、そのためにはびっくり箱にロックをかけておいた上で、我が子を起こしてオムツを替え、びっくり箱のそばに連れて行って、手を出さないように少し離れたところで抱っこし、ハンドルを回さなくてはなりません。そういうわけで長女にも手伝わせ、わたわたと寝ぼけまなこの次女を連れてきて、用心しいしいハンドルを回し始めましたが、最後まで動作不安定だったロック、見事に裏切ってくれました。曲の途中で蓋が開いてしまったのです。しかも元気よくポンッと開くのではなく、長時間押し込められて半ばひしゃげた人形が、なんだか申し訳なさそうに勢いなくボヨンと顔をのぞかせる始末。次女は「・・・?」という反応ですし、こちらはあまりの大失敗にがっかりを通り越して大笑いしてしまいました。ものの見事に失敗です。ママの苦労の日々を返せ・・

びっくり箱 - 誕生日のサプライズ

しかし、そもそも何を見させられているのか知らなかった次女は、ごく素朴にびっくり箱に興味を示しました。ハンドルを回したい、お人形と遊びたい、蓋がぴょんっと開くのもう一度見たい・・問題はサプライズが失敗したことではなくて、こうした子どもの欲求に応えられない構造をしていることでした。レンチハンドルが1歳児に回しにくいのは仕方がないとしても、人形が取り出せない、オルゴールが一曲鳴り終わるまで蓋が開けられない(外れてしまう時を別として)というのは、子どもにとっていじり甲斐がなくてつまらないに違いありません。そこでせっかくならもうひと頑張り、子どもが遊びやすい形に改良しようと決めました。

子どもが遊びやすい形に改良

まずは人形ですが、ポンッと出てきた可愛いやつを引っ張り出したい、というのは小さい子の当然の要求ですので、それができるように独立したパペットに作り直しました。顔を直接びっくり箱内部の布地に縫いつけるのではなく、胴体部分を別途つくって顔と手をそちらに縫い直し、ばねの上からはめるようにしました。こうするとこの人形に限らず、およそサイズが合うパペットなら何でもびっくり箱に仕込めるようになります。次に何が出てくるかお楽しみ・・本当のびっくり箱ですね。

びっくり箱 - 作り直した人形
びっくり箱 - パペットの入れ替えも可能

次に、ロックの構造を一新することにしました。最初の形ではやはり不安定すぎるのと、一度かけたロックを外すにはオルゴールのハンドルをせっせと回すしかないというのが不便なためです。アームの先端にL字型の金具を取りつけ、蓋の方には郵便受けのような差し込み口を取りつけて、この差し込み口にL字がはまることでロックがかかるようにしました。この構造だと、蓋を閉める時に一旦アームを手動で壁ぎわに引き寄せておかなくてはなりません。このためびっくり箱の側面に小さな穴を開け、糸を通してアームを引っ掛け、外から糸を引っ張るとアームが動くようにしました。

びっくり箱 - 作り直したロックの部品
びっくり箱 - アームを引き寄せる糸

外から糸を引いてアームを引き寄せた上で蓋を閉め、糸を引く手を離すと、蓋の差し込み口にL字がはまることになります。上から蓋を押し付けるだけで蓋がしまった最初の構造の方がスマートではありますが、この方がはるかにしっかりとロックがかかるようになりました。さらに、好きな時に糸を引っ張るだけで蓋が開きます。ハンドルを回せない子どもも、ポンッを楽しめるわけです。

総合評価:出来栄えとオススメ度

苦労して作ったびっくり箱ですが、ごく正直に言うと1歳の次女にはまだ早すぎたかなと思います。「子ども受け」「耐久性」「見栄え」の観点から総合評価するとこのような感じです。

子ども受け: 
耐久性  : 
見栄え  : 

「子ども受け」は1歳児を対象として評価しています。ハンドルを自分で回せないというのが一番のマイナスポイントで、長女の鉛筆削りのハンドルはしょっちゅう回したがって熱心にくるくるしているので、もう少し回しやすいハンドルにしてやれば喜んで回しただろうにと思うと残念。また人形が飛び出す仕掛けについても、今のところ次女は人形が出てくる驚きを楽しむより、出てきた人形を引っ張り出して愛しむ方に忙しいので、さほど「ポンッ」自体に執着しません。ただ成長とともに、自分でハンドルを回したり、びっくり箱に人形を仕込んだりできるようになったら、もっと楽しんでくれるんじゃないかなと思います。

問題は耐久性です。度重なる故障と修理を経て、それなりの強度は獲得したんじゃないかと思うのですが、ここに至るまでにあまりに苦労したので、子どもの雑な扱いで壊されたらたまらん・・という心情がはたらいてしまうのですね。「びっくり箱で遊んでもいい?」と長女に言われても「待って!・・念のためママが蓋セットするわ」という具合です。これは、おもちゃの実用性を考えた時にあまり好ましくないことです。子どもを喜ばせようと作ったのであれば、子どもが気兼ねなく思いきり遊べなくてはなりません。というわけで、耐久性という観点からは減点です。まだ作って日が浅いのでママの執着が強いせいもありますが・・数年好きに遊ばせて壊れなかったら、星追加するかもしれません。

見栄えは、もともとおもちゃの太鼓として完成されたものを使ったので満点です。蓋を閉めっぱなしにすると内部の部品に負荷がかかり続けることになるので、蓋を開けて中のワンちゃんが顔を覗かせている、という形でおもちゃ棚に飾っていますが、とても可愛いです。

びっくり箱 - 人形が顔を覗かせているところ

さて、この工作をオススメするかという点ですが、はっきり声を大にして言うと「NO!」です。難しすぎます!少なくとも1歳の誕生日をひかえた子どもの母親は、こんな壮大な工作を手がけるより他にすることが山ほどあると思うのでやめましょう。以前既製品のレビューを見た時に、なぜこんなにメジャーなおもちゃなのに、動作不良を少なくできないんだろうと首をかしげましたが、なるほど仕掛けが簡単なゆえに誤作動も簡単に生じるのですね。何度も何度も作り直してオルゴールのハンドルを回していると、映画「エルフ」の主人公バディが、最後に嫌気がさしてびっくり箱を机にたたきつける気持ちが実によくわかります。

ここまで難しい工作は、「作ったおもちゃで子どもと楽しく遊ぶ」ことを目的とするより、「作る楽しみを味わう」ために行なった方が正解です。なので、小学校中〜高学年以上のお子さんと、夏休みの工作として作るなどすれば、楽しめるのではないでしょうか。「うまく作動しない」「ロックがかからない」「壊れた」などの問題が生じた時に、自分自身で原因を推測し、修理箇所を特定し、トライアンドエラーを繰り返すのは、何もかも説明書に書いてある工作キットで遊ぶよりはるかに難しく、子どもにとってよい経験だと思います。

あるいは、小さなお子さんを喜ばせるために作るのであれば、オルゴール付きのびっくり箱ではなくて、ただ「蓋を開けたら人形が飛び出す」というもので十分だと思います。これなら簡単に作れる上に、中の人形を取り外し可能にして何種類か作れば(あるいは手持ちのパペットを入れれば)、蓋を開けるたびにちがう人形が出てくる楽しい作品ができますね。こちらの方がオススメです。この作り方に関しては、いずれ別記事に書きたいと思っています。

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