皆さんのお宅では、イースターのエッグハントをしますか?使うのは本物の卵?プラスチック製?それともチョコレートエッグ?
我が家には十数個のイースターエッグがあって、イースターの朝に家中のあちこちから子どもたちが見つけ出すのが慣わしです。子どもたちが気軽に手にとって遊べるように、職人の手書きペイントがなされたような高価な品ではなく、プラスチックの卵にエッグラップを貼ったものを使っているのですが、気軽に遊べるようにした結果、この卵たちはイースターの後しばらくのあいだ他のおもちゃたちに混じって家中に散乱することになります。そこで「どうせならエッグハント以外にも活用しよう」ということで、卵を使った遊びをいくつか考え出しました。今回はそのひとつ、「卵爆弾ゲーム」をご紹介します。
卵爆弾ゲームとは
主の復活を祝うイースターの卵を爆弾に見立てるなんて少々不謹慎ですが、内容は物騒なものではありません。爆弾投下位置を避けて自分のコマを動かすボードゲームです。当たったら爆死するような本物の爆弾ではなく、命中すると頭から生卵をかぶるとか、炸裂してチョコレートやキャンディが飛び出してくるというような、楽しい爆弾をイメージしていただけたらと思います。

まず卵が8つ置けるボードを用意します。うちでは、Temuで化粧ボックスを購入した時についてきた、丸い打ち抜き加工つきの黒スポンジがぴったりだったので、これを使っています。同様のスポンジをお持ちでない場合は(普通ないですよね)ペットボトルの蓋を並べるなりして、とにかく写真右の画用紙でいうと、黒丸の位置に卵が立てられればOKです。肝心なのは、卵の置き場を頂点とする四角形、写真でいうと画用紙上の点線が、正方形になるようにすることです。

次に卵をセットします。ひとつは「爆弾たまご」。上の写真でいうと、黒矢印で示した左上の卵です。これをひとつの角に設置し、それ以外の角に「クイーンたまご」をプレイヤーの数だけ置きます。どこの角でも構いません。上の写真では2人でのプレイを仮定し、女の子の描かれた「クイーンたまご」を右上と右下の角に置いています。それ以外の全ポジションには、クイーンではない普通のたまごを置きます。ゲームの進行は簡単で、
爆弾は、今ボード上にいる卵の中で一番遠くにいるものに落ちる。最後まで爆弾に当たらず生き残ったクイーンが勝ち。
というものです。爆弾から逃げるため、一人一手ずつ打って卵の配置を変えます。2つの卵の位置をスワップしてもよいし、空いているポジション(爆弾が飛んでいった後の穴)に移動しても構いません。全員が一手ずつ打ち終わったらそのたびに爆弾投下。投下されるごとに爆弾の位置も変わり、標的も変わります。
配置変えのルール
ゲームを面白くするためには、卵の配置変えに何らかのルールが必要です。うちでは何度かやっているうちに、以下の3つに落ちつきました。
ルール① 動ける場所は隣のみ

例として、先ほどの写真のポジションからゲームスタートしてみましょう。黒を爆弾たまご、赤と青をクイーンたまごとします。爆弾の初期位置はAですので、最初の投下位置はH。つまりこのままでは青のクイーンに爆弾がヒットします。そこで卵の配置変えをするわけですが、まず第一のルールとして以下を課します。
ルール①
隣接するポジションにのみ移動・入れ替え可能
このルールから、青のクイーンが動ける場所はG, E, C、赤のクイーンが動ける場所はB, E, Hの3箇所のみとなります。ですがこのとき赤が先手なら、逃げる場所は迷わずBしかないことがお分かりでしょうか。Hは爆弾投下位置なので当然としても、Eに逃げても爆撃を避けられません。というのは、先手の赤がEに移動したら、後手の青が自分自身と赤クイーンを入れ替えて、赤クイーンに爆弾を当てることができてしまうからです。最初の一発であえなく直撃・・とならないためには、青クイーンの手のとどかないBに逃げるしかありません。
ルール② 先手・後手は一回ごとに入れ替える

先ほどの例で赤クイーンがB、青クイーンがたとえばGに動いたとすると、爆弾はHに落ちて上図のような配置になります。このままだと次の投下位置はFです(爆弾は一番遠い卵をねらって落ちるので、卵不在となったA地点には戻りません)。ここで普通ならまた赤が一手打ち、青が一手打ちますが、このゲームでは、
ルール②
先手・後手は一回ごとに入れ替える
とします。というのは、何度かやると分かるのですが、このゲームでは後手が圧倒的に有利なのです。爆弾が落ちる直前にポジションを好きに調整できるので、先ほどのように相手を窮地に立たせることができてしまいがちです。そのため、一回ごとに順番を入れ替えます。
ルール③ 他のクイーンは無闇に動かせない
ということで、次に打つのはまた青ですが、ここでたとえば、青が自分と爆弾の位置を入れ替えるとします。このシチュエーションではあまりそのメリットがありませんが、そういうこともできるというデモンストレーションのため、敢えてそうしてみます。すると、次の投下位置はFではなくCになります。

次は赤が一手打つ番ですが、ここで赤が青クイーンをCに持っていくことができてしまうと、青はなすすべなくやられてしまいます。これはさすがにあんまりなので、
ルール③
他のクイーンに手をかけてよいのは、自分のクイーンと入れ替える時だけ
とします。つまり自分のクイーンと他のクイーンの入れ替えはOKですが、他のクイーンを別の卵と入れ替えたり、空いている場所へ移動させたりすることはできないものとします。もっともこのシチュエーションの場合は、それを禁じても赤は勝てます。爆弾をBかDの位置に持ってくれば、青のいるHが爆弾からもっとも遠くなるからです。
ちなみに、爆弾がBに置かれたら一番遠いのはFとH、爆弾がDに置かれたら一番遠いのはCとHですね。このように爆弾投下位置が2つになってしまった場合どうするかですが、うちではとりあえず「爆弾は2手に分かれて、どちらにも落ちる」としています。そこからは、2個の爆弾がそれぞれもっとも遠い場所に落ちる、という設定でゲームを進めます。とはいえ、そんなシチュエーションになることは、滅多にありません。たいていは爆弾が分裂する前にボードが卵不在の穴だらけになるので、投下位置はひとつに限られ、じわじわと爆弾がクイーンたちに近づいてきて正念場をむかえます。
次の投下位置はどこ?ゲームで学ぶ直角三角形の定理
このゲームの要となるのは「爆弾は一番遠くの卵に落ちる」という基本設定ですが、「どこが一番遠くか」というのは時としてそれほど一目瞭然ではありません。たとえば爆弾がCの位置にあって、DとGに二人のクイーンがいるとき、どちらに爆弾が落ちるか分かりますか?

D→G→Cを結んでできる角が直角だと気づけば、大人は「直角三角形は斜辺が一番長い」と知っているので、答えはDだと分かります。しかしこれを証明するのは、小学校高学年か中学校の問題。大人だって、今になって急に証明しろと言われたら、できるかどうか怪しいものです。爆弾がC地点にあって、クイーンがAとFにいるのであれば、落ちるのはFの方だというのは小さい子でも納得すると思いますが、DとGくらい目視で微妙なポジションになってくると「いいや、Gの方が遠いよ!」と押し問答になりかねません。
そうなったらせっかくの機会ですから、図形のお勉強をさせましょう。どのレベルで説明するかはお子さんの興味と年齢次第。とりあえず「三角形の角のひとつが直角だったら、その向かい側の辺が一番長いんだ」ということは受け入れさせて、「どこが直角か」を探させるだけでも、低中学年のお子さんにはよい勉強です。
もっとも、お子さんが「遠いのはこっちだよ」と言われて素直に納得する性格あるいは年齢なら、無理に説明を押しつけずゲームを楽しんでください。ただ「本当にこっちかなあ。なんでこっちの方が遠いのかなあ」と思うなら、それは幾何を生きた学問として感じるささやかなチャンスと言えます。だって、いくら算数の授業で「三平方の定理」とか「三角形の内角の和は180度」とか言われても、何かの役に立つと思えたことってありますか。けれどこのゲームにおいて「どの辺が一番長いか」は、文字通りクイーンの生き残りをかけた死活問題です。ほうら、役に立つこともあるんだよって、言ってやりましょう。すごく限定的ですけど。
イースター飾りでもっと遊ぼう
クリスマスの飾りは、5日後に正月が控えているので、どうしても年内にぱたぱたと片付けるお宅が多いかと思います。けれどイースターの飾りは、春中出しっぱなしにしていてもおかしくありません。せっかく春めいた可愛らしい品が多いので、長く飾って遊びにも取り入れましょう。うちはイースターエッグがごろごろしているので、卵をたくさん使うゲームとしてこの卵爆弾ゲームを創作しましたが、別にすべてのコマが卵である必要はありません。クイーンたまごの代わりにイースターバニー、その他のたまごの代わりにヒヨコなどを置けば、とてもイースターらしい素敵なボードゲームになりそうですね。ボードの代わりに小皿を使い、ティーパーティーにつまみ食いしにきた動物たちが、卵爆弾をよけて皿から皿へ逃げ回る、という設定にしても楽しいです。

可愛くて面白ければなんでもあり。お手持ちのイースター飾りを使って、いろいろ楽しんでみてください。